それが「ゆがみ」でないのなら

こんにちは。
火曜夜を担当している滝波日香理です。

今年の上半期は開脚の本が大ベストセラーになりましたね。
今も本屋さんには股関節についての本がたくさん売られています。
本を読んで試した方も多いのではないでしょうか?
私も本を読んでストレッチなどを試すのは好きな方♪
先日私も、ある股関節のストレッチ本に書いてあった、
股関節の「ゆがみ」をチェックする、こんな実験をしてみました。

大きめの紙を広げて、その中央に立ちます。
目を閉じて、その場で50回足踏みをします。
足踏みを終えたときに立っている場所が、
スタート地点からどのくらいずれているかで、
股関節の「ゆがみ」のパターンを判定するテストです。

さて、やってみると笑撃の結果に……
20歩を過ぎたあたりで紙を踏む音がしなくなったので、
「んむっ?」と思って目を開けると、
同じ場所で足踏みをしているはずが、かなり前進していたのです。
3回やってみましたが、どれも同じ結果になりました。

解説によると、私は「前かがみ」タイプ。
股関節がズレて骨盤が前傾または後傾していて、
上半身が前かがみになりやすいとのこと。

ピンポーン! ハイ、そのとおり!
アレクサンダー教師になった今も、吾輩は猫背であります。
だけど、それが体の「ゆがみ」だとは思っていません。

「ゆがみ」を漢字で書くと「歪み」=「不正」。
なんだか自分を否定されたようなニュアンスを伴いますし、
その先には「正しい形」があるようにも思わせるので、
“動き”を教えるアレクサンダー教師として、
私は「ゆがみ」という言葉を使いたくないのです。

もちろん「ゆがみ」という考え方も理解できます。
その本が伝えている股関節の「ズレ」や「ゆがみ」は、
主に大腿骨と骨盤の関係性のことのように読めました。
大腿骨に対する骨盤の傾きがある固定した位置関係になり、
それが体に悪影響を及ぼす時に
「ゆがみ」という言葉が使われているようです。

固くなった筋肉をストレッチでほぐす。
それはとてもいいことだけど、
私は「ゆがみ」をその出発点にしたくはないんですね……

さて、実験の話に戻ります。
「前かがみ」タイプの私は骨盤が前傾しているようなので、
その傾きを変えるにはどうしたらいいかを考えました。
私は骨盤のことを考えるときに、背骨をはさんで反対側にある
「頭」もアイデアの中に含めてあげることにしました。

そして再び紙の中央に立ち、目を閉じました。
足踏みを始める前に、ていねいに自分の体に注意を向けます。
 頭と首の関係性はどうなっている?
 今この瞬間、足の裏と床の関係性はどんな感じ?
 重心はかかと側にある? それともつま先側?
その問いかけに答えるように、体の中でギュっとなっていた
膝・足首・胸・腕などが、少しずつゆるんで動いていきます。
それから私は足踏みを始めました。
その最中、下を向きたくなる自分に何度も気づき、
気づいた瞬間ごとに「上方向を思う」を繰り返し……

そうして50回の足踏みが終ったところで、
ドキドキしながら目をあけました。
今度は最後まで紙の上に乗っていられたうえ、
足元を見ると、印をつけておいたスタート地点から
ほとんど離れていないではありませんか!

上手く行った時のベースにある考え方は、
「体はもともと完璧にデザインされている」ということ。
自分がその完璧さを邪魔する何かをしているようなら、
それに気づいて、チョットやめてみる。

私の場合、股関節のズレとされたものは、
頭と脊椎の関係性が表れたものでした。
頭を含めた上体の重心が前に偏れば、体は倒れないように
股関節まわりの筋肉を固めてバランスを取ろうとします。
部分だけを見ていると、それは「ズレ」かもしれませんが、
からだ全体として見ると必要があってしていることなのです。

「ゆがみ」があるのではなく「していること」があるだけ。
そう思うと、ちょっと気が楽になりませんか?
動きに注意を向けていると、自分の動きが段々見えてきます。
レッスンでは、それを見つけるお手伝いをします。

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