アレクサンダー・テクニークを学ぶとはどういうことでしょう? ここでは、私、高椋が学んできた経験を元に、自身の見解を書いて行きたいと思います。

私はアレクサンダー・テクニークは日本の武芸、〇〇道などと同じようなカテゴリーに入るものだと思っています。

知識・ノウハウがあって、それを学べばOKというものではありません。

練習、実践を繰り返して、自分で使えるようになることで初めて意味をもちます。

それでは、アレクサンダー・テクニークを使えるようになるために辿るプロセスはどのようなものなんでしょうか? 

初心者〜中級者、中級〜上級者、教師を目指す人の3つの段階に分けて説明して行きたいと思います。

<初心者〜中級者> 初めはみんなここからです。

この段階では、日常動作がラクにできるようになる、演奏や踊り、競技でのパフォーマンスが向上するなど、自分の日常のなかでアレクサンダー・テクニークを活用して、自分が望んだことができるようになることが目標です。

人によってはこの段階で自分の望みを達成するのに必要な程度、アレクサンダー:テクニークのエッセンスを使えるようになり、学びを終えることを選ぶ人がでてきます。

ここまでで人によっては数回〜数十回のレッスンを、また、人によっては数年間学ぶことになります。

*ちなみに、いったん自分がやっていることを横において、主に”椅子から立つ座る”という動作を通してアレクサンダー・テクニークを学ぶという学び方もあります。こちらは、よりダイレクトにアレクサンダー・テクニークを学ぶやり方です。

FUN!では問題を解決したり、自分のやりたいことを向上させるために使ってもらった方がモチベーションが上がりやすいという考えから、レッスンではみなさんのやりたい動作の中で学んでいただき、どんどん実生活で使ってもらうということを推奨しています。

ちなみに、学びのプロセスは「ちょっと上手くできた」「ちょっとラクになった」という成功体験を積み重ねて、気がついたら大きく変わっていたという感じで進んでいきます。

アレクサンダー・テクニークを学ぶことが人生の目的という人はそんなには多くないと思うので(笑)、まずはこの段階まで学んでいただいて、自分のやりたい動作を改善・向上させるために使ってください。

この後も時々ブラッシュUPでレッスンを受けにきていただけると嬉しいですね。

ここまでが最初の段階です。FUN!では☆のベーシックレベルのクラスが該当します。

さて、この後はどんな展開があるのでしょうか?

<中級〜上級>

アレクサンダー・テクニークを学んでいくうちに、それ自体が楽しくなってしまいもっと探求したいという人が時々でてきます。

又、たまにレッスンを受ける前から本を読んで、これは面白いと言って来てくれる人もいます。

そういう人達は底なしの深みにはまっていく事になります(笑)

アレクサンダー・テクニークで扱っている習慣には様々なものがあります。

例えば小さい時に無意識に親をコピーしたもの、単なる反復動作から形成されたもの、ケガの後遺症によるアンバランスから形成されたものなど比較的身体に近いレベルで形成されたものから、トラウマなど深い心の問題に根ざすもの、自分の生き方、人生に対する態度、女性性・男性性の問題、民族文化レベルの習慣など無意識の深い層に根ざすものまで様々です。

人間が持っている無意識に行っているありとあらゆる習慣が、それを誘発する刺激を受けた時に筋の緊張として身体に表れます。 

そこに気づいてもらい、必要でなければやめることを練習します。

*カウンセリングなどのように原因について掘り下げていくということはしないので、グループレッスンでも安全に学んでいただくことができますが、”他の人と一緒に”が気になる方はまずは個人レッスンから初めてみてください。
また、こちらが個人レッスンから始められる方が適切であると判断した場合は、その旨をお伝えさせていただきます。

タマネギの皮を剥くようにいろんな習慣をやめていくと、どんどん自分が軽くなってくるのが実感できます。

これが、長く続ける人達、面白くてやめられない人達が学び続ける理由の一つです。

この後、教師から離れて自分で探求を続ける人もでてきますが、この人達はどんな形であれ一生探求を続けることになると思います(笑)

*FUN!では☆のベーシック及び、☆☆のアドバンスレベルのクラスが該当します。

<教師を目指す人>

さて、長く続ける人達の中には、人に教えるということに興味を持つ人がでてきます。中には数回のレッスンでそこを目指すことを決める人もいます。

その場合、どのようなプロセスを経て教師になっていくのかということを書いて行きたいと思います。

一般的にアレクサンダー・テク二ークの教師になるためには3年から4年で1600時間の学びが必要とされています。芸事でしたらまずは10年で一人前と言われるものも多いですね。アレクサンダー・テクニークも自分の心身を練って行くことが必要なので、教師になろうと思ったらそれなりに時間はかかります。

まず最初に目指すのは自分でできるようになること。やはり、自分でできるようにならないと教えることはできません。
中級〜上級までのプロセスと同じように、自分で使えるようになることを目指してトレーニングを行います。

私が学んだ学校では、最初の2年間(800時間)は自分で使う事を学ぶ段階でした。それぐらいである程度使えるようになり、教える練習を始めます。

その後、教える練習を続け、アセスメントに合格してから一般の人に教える練習をして教師の免状を頂くことができました。

自分の場合は途中で紆余曲折を経たので約5年かかりましたが、早い人の場合は集中して学んで3年、ゆっくり学ぶ人の場合は8年、9年かかって教師になった人達もいました。

では、FUN!ではどのような考えで教師養成をしているのかについて書いていきたいと思います。

冒頭でアレクサンダー・テクニークの学びは日本の武芸、〇〇道などと同じようなカテゴリーに入るものだと思っています。と述べましたが、AT教師になるプロセスもそれらのものと同じだと思っています。簡単に言うと教師のサポートなしで教えることが出来るようになったらOKですということです。(レッスンで使うレベルで解剖学が分かっているなど、これができることが必要ですという基準はあります。)

①まずは自分のために学び続ける段階
  それまでの経験によってアレクサンダー・テクニークの上達のスピードは一人一人違います。例えば、イチロー選手のような向き合い方で自分の身体と対話してきた人であれば、かなり早く学べると思います。一方で、ただ早ければいいと言う訳でもなく、トレーニングを通じていろんな経験をすることが教えるときに役に立つことも事実です。

 また、最初のうちはたくさんレッスンに参加して教師からのサポートを受けたいと思う人もいるだろうし、時間はかかってもいいので自分で探求しながら進んで行きたいという人もいると思います。という訳で、まずはベーシックのクラス、アドバンスのクラスを自分の都合や目標に応じて受けてください。

②教師を目指すことを決めたら、その旨を私(高椋)に伝えてください。毎月3名のディレクター(高椋、田中、山田)のアドバンスクラスに出席していただくことになります。追加のクラス参加はみなさんの都合や目標に応じて決めてください。

自分でアレクサンダー・テクニークを使えるようになってきたら、ディレクターが”教える練習を始めていいですよ”と伝えるので、アドバンスのクラスの中で教えることを練習していただきます。

教師のサポートなしで十分に教えることができるようになったら、3名のディレクターからアセスメントを受けていただきます。
合格したら修了です。

*アレクサンダー・テクニーク教師の国際認定を取得したい方はATI(アレクサンダー・テクニーク・インターナショナル)のアセスメントを受ける為の推薦状を発行いたします。各自でATIのスポンサーとコンタクトをとってアセスメントを受けてください。

以上のようなプロセスを経て、教師としての第一歩を踏み出すことになります。

そして、教え始めてからがまた新たな探求の始まりです。

生徒に教えるということは、それまで以上にアレクサンダー・テクニークを使わなくてはいけません。そして、毎レッスンが真剣勝負です。 

好奇心、探究心を持ち続け、卒業後もブラッシュUPし続ける事も、FUN!の教師に求められる資質です。

どのレベルまで学ぶかはみなさんの自由です。まずは最初の一歩をFUN!で始めて見ませんか?