習慣をやめる・変えることの難しさ
みなさん” 習慣を変える、やめる”と聞くとどういう印象を持ちますか?
「頭では分かるけど、実際にやるのは難しい」という感じでしょうか。
例えば、ダイエットをしたいと思った場合、
・運動をしない習慣をやめて、運動をする習慣をつける。
・甘いものや炭水化物の取り過ぎをやめて、低脂肪高タンパクの食事に変える。
・結果がでるまで続ける。ということができれば誰にでも目標は達成できるはずです。
でも、なかなか上手く行かずに挫折したことがある人の方が多いのではないでしょうか?
頭では分かっていても、食べたいという衝動(感情)にかられて習慣に負けてしまう。
習慣を変えいくことの難しさはここにあります。
アレクサンダー・テクニークで扱っている心身の使い方の習慣(クセ)をやめる場合にも同じことが言えます。
アレクサンダー・テクニークで扱っている心身の使い方は大別して2つの傾向に分けられます。
①頭と背骨が縮む傾向の使い方
②頭と背骨が伸びる(拡がる)傾向の使い方
このうち①の傾向の使い方が習慣(クセ)になってしまうと肩こり、腰痛、慢性痛、動作が上手くいかない、スムーズでない、などの問題が起こります。
反対に、②の使い方をすることでラクに効率よく動くことができるようになります。
というわけで、アレクサンダー・テクニークのレッスンで学んでいただくのは②の方向の心身の使い方ということになります。
簡単ですね。頭では理解していただけると思います。
ちなみに、②の頭と背骨が伸びる傾向の使い方と聞いて、「じゃあ、背筋をピンと伸ばしてよい姿勢を意識すればいいんだ!」と思った人、残念ながらハズレです(笑)背筋を伸ばして良い姿勢を意識しようとすると、背骨が固まるという結果になることが多いです。
ちょっと脱線しますが、西洋には”肩こり”という単語がないんだ、それは彼らが姿勢が良くて肩こりにならないからだ。というような文章を見る事がありますが、実は西洋の人達は腰痛で困っている人が多いそうです。
背筋をピンとはって一見良い姿勢に見えるのですが、彼らの身体の使い方だと腰に負担がかかって腰痛になることが多いようですね。
というわけで、②の傾向の心身の使い方には、背骨がしなやかに動ける状態でいるということも含まれることになります。
さて、話を元に戻しましょう。
アレクサンダー・テクニークのレッスンで学ぶことを理解するのはそんなに難しくはありません。しかし、自分でできるようになるまでにはかなりの時間と訓練が必要です。
それは、これまで慣れ親しんできた心身の使い方の方が、たとえ問題を生み出していたとしても居心地がよかったり、正しく感じるからです。
人は、「もうこれ以上このやり方では上手く行かない」とか、「痛くてどうしようもない」というところまでいかないと本当には変えようとは思わないことが多いですよね。
しかし、もうどうしようもないところまでいくというのは、その望ましくない動きを作っている神経回路がかなり選択、強化されてるので、その動きをやめて、新しい動きができるようになるためにはかなりの努力や意志力が必要な段階にいるということになります。
そして、人は大抵、この段階になって初めてなんとかしようとするので、習慣(クセ)をやめて、新しい動きを学ぶのが難しく感じるのです。
ですから、最初のうちはレッスンで上手くできても、日常に戻るとこれまでのやり方に戻ってしまうことは良くあることです。というか、最初はみんなそんな感じです。
レッスンをしているとたまに「若い時にこれを知っていれば、、、」という感想をいただくことがあります。
実際のところ、若い人の方が早くできるようになることが多いというのは確かです。
例えば、ちょっと前にレッスンしたバレエをやっている高校生の場合、
もともと①の習慣がそれほどついていなかった。
バレエの練習を通じて身体感覚が発達していた。
②を練習すればバレエが上手くなるという確信が持てた。という条件が重なり、1回のレッスンでかなりの変化を自身で作り出せるようになりました。
僕も正直なところレッスンしながら 「えーっ、こんなに簡単に出来るようになっちゃうの、若いっていいわー!」 と思いました。
でも、いくつになっても始めるのに遅いということはありません。
難しいところをお手伝いするために、アレクサンダー・テクニーク教師という人達が存在しているのですから(笑)
習慣を変えるというのは大きな岩を転がすようなものです。
最初、動かすのには沢山の努力や意志力が必要ですが、一旦動き出すと軽い力で進んでいくことができます。
自分一人では大きな岩を転がすことはできなくても、私達がサポートすることで転がりやすくなります。
自分の中に眠っている、ラクで自由に動けるカラダを取り戻してみたい方はぜひ体験してみてください。